日本山岳遺産ニュース
日本山岳遺産基金は、イタリアに本社を置き、登山・アウトドア市場を対象としたアウトソールブランドを発信するヴィブラムジャパンと協働で進めている「第2回 日本山岳遺産基金×ヴィブラムジャパン登山道整備プロジェクト」について、同社と審査・協議の結果、助成先団体を以下の通り決定し、発表します。
昨年度は2団体に助成を行いましたが、今年度は申請団体も増え、4団体への助成となり、助成金の総額も昨年度の倍の200万円となります。
日本百名山としても数えられる白馬岳や雨飾山の整備を行う「小谷村山案内人組合」、大雨被害もあった南アルプス南部の、難度の高い荒れた縦走路の整備を進める「南アルプスクラブ」、歴史ある霊峰・白山の登山道を後世に受け継ぐために活動する「白山観光協会」、都心からの登山者が多く、混雑する御岳山へバスを使わずに登れるようにランニングチームが主体となって活動する「RUN&BEER Forestry」と、助成先の整備山域の特徴は異なります。
ヴィブラムジャパンの担当者は「一言に登山道整備といってもそれぞれ違った意義があり、多くの人が、さまざまな形で参加していると感じました。日本山岳遺産基金の認知が広がれば効果的なプロジェクトになると考えます」と話します。
助成金は今年度の登山道整備活動に使用されます。また、各助成先団体の登山道整備の活動については、月刊誌『山と溪谷』2023年1月号ほか、山と溪谷社の媒体で紹介する予定です。
【整備山域】
白馬岳・雨飾山
【活動内容】
北アルプス・白馬岳、雨飾山周辺の登山道整備。主に木道や階段の修繕。夏と秋に2回ずつ実施。
【整備を行う山の状況】
言わずと知れた日本百名山の白馬岳や雨飾山をかかえ、登山者も多く訪れるエリア。木道や階段の修繕作業を行っているが、毎年できる整備作業には資金面で限界があり、なかなか思うように進んでいない状況。
【整備山域】
光岳・大無間山
【活動内容】
12年前から実施してきた寸又三山の登山道整備のほか、町内の山々での遭難対策活動も行う。別名団体で3年継続した光岳登山ルート整備事業を引き継ぐ。
【整備を行う山の状況】
2011年の台風で林道が崩落し、静岡県側から光岳へ直接登るルートがないため、一般登山者には難しい光岳から南へ延びる尾根筋を整備する。標識や拠点となる営林小屋の修理、トイレの設置などが必要。
【整備山域】
白山
【活動内容】
日本百名山の一座である霊峰・白山における登山道および施設の整備、維持管理を実施。登山道整備は地域のNPO法人やボランティア団体と協力して行う。
【整備を行う山の状況】
白山山頂へ向かう三禅定道の一つ「旧・越前禅定道」の一部である杉峠など、県境付近の登山道整備を行う予定。過疎高齢化により継続的な整備が困難な状態で、歴史ある登山道の整備体制が喫緊の課題となっている。
【整備山域】
御岳山
【活動内容】
御岳健康大使の福島和可菜さんのランニングサロン「RUN&BEER」メンバーが中心に活動。御嶽駅前に見える山の頂上までのルートを「ラニヘッドトレイル」と名づけシンボルルートとしての整備。
【整備を行う山の状況】
旧登山道ながら獣道のようになっていたルートの草刈りや倒木処理、近自然工法を取り入れた補修、看板の設置を行ない「安心」して通れる道をめざす。
■日本山岳遺産基金×ヴィブラムジャパン登山道整備プロジェクト
「ヴィブラムソール」として知られる高性能なラバーソールを提供し続けるヴィブラムジャパンが、日本での山岳環境保全活動の一環として、国内で登山道整備を行っている団体に助成金を拠出、日本山岳遺産基金を通じて助成を希望する団体を募集・選考し、協働して支援していくプロジェクト。同社は現在、持続可能な環境保全活動を行うための計画として「ザ・サスティナブル・ウェイ」への挑戦を優先事項のひとつとし、登山道を守ることも大きな課題としている。
■ヴィブラム https://jp.vibram.com/
ヴィブラムジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表:眞田くみ子)。1937年、登山家であり起業家であったヴィターレ・ブラマーニによってイタリアで創業。アウトドアや安全靴、カジュアル、ファッション、リペアー、オーソペディック(義足)等に使用されるラバーをメインにしたソール等のプロダクトを提供しています。ハイクオリティかつハイパフォーマンスのプロダクトをアクティブな生活を送る人々に提供することをビジョンに、それらを何十年も変わることなく追求することをミッションとし、ソールを通じて多くの人々にこの世界の様々な場所を体験して頂けるよう、インスピレーションをもたらす革新的活動を続けています。
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