日本山岳遺産ニュース
日本山岳遺産基金は、2024年度の「日本山岳遺産」を決定し、以下の通り発表します。
アドバイザリーボードの助言のもと、事務局にて検討した結果、本年度は以下の3カ所/3団体を認定しました。各認定団体には、本年度中に助成金を拠出するとともに、山と溪谷社の媒体を活用した広報支援を行う予定です。
山名・地名 | 都道府県 | 認定団体 | 主たる活動 |
幌尻岳 | 北海道 | 平取町山岳会 | 登山道整備活動 |
北岳 | 山梨県 | 北岳、山岳医療ボランティア |
安全登山啓発活動 |
上山高原 | 兵庫県 | 上山高原エコミュージアム | 自然再生活動、生態系・環境保全のための調査活動 |
【山の概要】
幌尻岳は、日高山脈襟裳十勝国立公園の中で最も高い山であることから、アイヌ語で「大きい・山」を意味する「ポロ・シㇼ」として親しまれてきた山。日高山脈の持つ原始性の高い優れた自然環境の魅力については既に多くの人に理解されており、その主峰である幌尻岳については多くの登山者の憧れの山となっている。
【認定団体】
1965年(昭和40年)、幌尻岳周辺を含む国有林を管理する振内営林署の避難小屋として幌尻山荘が完成したことを契機に営林署職員有志が職場単位での山岳会を結成したことを端緒に、地域からも会員を募り、1977年(昭和52年)5月に全町組織の平取町山岳会へ発展。発足当初より幌尻山荘の維持管理を行いながら幌尻岳を中心として活動の場を広げる。
【認定理由】
長年にわたり幌尻山荘の管理や、周辺の登山道整備に尽力している点を評価。
【山の概要】
北岳は日本第2の高峰であり、南アルプス国立公園に指定され、山の上部はその特別保護地区、山腹は特別区域となっている。日本百名山、新・花の百名山、山梨百名山に選定されている。1871年(明治4年)に修験者により広河原から白根御池を経由して北岳に登頂し里宮・中宮・奥宮を造り開山した。キタダケソウなどが咲き誇りとても美しい山である。
【認定団体】
2018年(平成30年)設立。当時の白根御池小屋管理人からの要望を受けて、当ボランティアを設立した。主に北岳で山岳医療を主として安全登山の啓発活動や傷病者の救護活動などを行う。
【認定理由】
登山者が安全に登山を行えるようボランティアで山岳医療活動を続けている点を評価。
【山の概要】
上山高原は、氷ノ山後山那岐山国定公園内に位置し、希少な植生が多く残されている。兵庫県レッドデータブックでは扇ノ山や霧ヶ滝周辺のトチノキ林、扇ノ山のブナ林は貴重性が高いとされ、また上山高原には、人との共生により育まれてきたススキ草原が広がっている。
【認定団体】
2004年(平成16年)7月設立。兵庫県北部、鳥取県境の扇ノ山山麓に広がる上山高原や麓の奥八田の集落などをまるごと生きた博物館ととらえ、地域の有形、無形の資源を活かしつつ保全・再生する当団体の取組みを通して、貴重で豊かな自然を守り育むとともに、自然と共生してきた地域の暮らしに息づく知恵を学び活かし、広く情報発信することにより地域内外の交流を図り、かけがえのない自然を次代に継承するとともに、地域の活性化に寄与することを目的とする 。
【認定理由】
上山高原周辺の自然再生をはじめとする取り組みを、地域住民だけでなく地域外の都市住民、団体、事業者、行政の協働により運営している点を評価。
※各団体への助成内容と助成金額については、申請内容を鑑みて現在、調整中です。