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日本山岳遺産ニュース

2016年度の日本山岳遺産認定地として美瑛富士と嘉穂アルプスの2カ所を認定

日本山岳遺産基金では、2016年度の「日本山岳遺産認定地」2カ所を決定しました。

本年度については昨年同様7つの団体からの申請があり、アドバイザリーボードの助言のもと、事務局で検討した結果、美瑛富士と嘉穂アルプスの2カ所を本年度の「日本山岳遺産」として認定しました。

各認定団体には、事務局と調整のうえ、本年度中に助成金を拠出します。

また月刊誌『山と溪谷』ほか山と溪谷社の媒体を活用し広報支援を行う予定です。

山名・地名 都道府県 申請・認定団体 主たる活動
美瑛富士 北海道 山のトイレを考える会 山岳環境保全
嘉穂アルプス 福岡県 嘉穂三山愛会 山岳環境保全・登山道整備


2016年度の日本山岳遺産認定地と認定団体

 

美瑛富士(北海道)/山のトイレを考える会


【山の概要】
 十勝岳を中心とする十勝連峰北部に位置するコニーデ型火山で、「美瑛富士」は愛称ではなく、正式な山名。連峰内には十勝岳(日本百名山)、美瑛岳(北海道百名山)、オプタテシケ山(日本三百名山)がある。

【認定団体】
 2000年の設立以来、山のトイレマナーガイドやトイレマップなどの作成配布、啓発活動を実施。美瑛富士避難小屋への携帯トイレシステム導入をめざしている。

【認定理由】
 当該団体の現在の活動先である美瑛富士避難小屋は、十勝連峰縦走時の重要な宿泊・中継基地で、野営指定地になっているもののトイレがなく、汚物やティッシュなどが多数残置されている。一方、当該団体は設立から15年以上にわたり、メンバーの献身的参加によって地道な活動を継続しており、顕著な社会的功績を残してきた。当該エリアでの今後の活動においても大きな成果を期待できることから、助成を決定した。

 

嘉穂アルプス(福岡県)/嘉穂三山愛会


【山の概要】
 馬見山、屏山、古処山の総称。福岡県嘉麻市嘉穂地区の南部に位置し、地元では「嘉穂アルプス」の愛称で親しまれる。馬見山にはブナが自生するブナ尾根や花崗岩の巨石群、ヤブツバキの群落があり、古処山には露出した石灰岩帯や特別天然記念物・ツゲの原生林、オオキツネノカミソリの群落などが見られる。絶滅が危惧されるクマタカの生息と繁殖も確認され、貴重な生態系が形成されている自然豊かな山域である。

【認定団体】
 2010年より、当該山域での登山道整備や生物多様性保全活動を続ける。地域の子どもたちを対象としたオオキツネノカミソリやニシキキンカメムシなどの探訪登山も実施している。

【認定理由】
 当該エリアは全国的には著名な山域ではないが、地域に根付いた山域を地域社会のなかで保護・維持していこうとする姿勢を評価した。当該団体も大きくない予算規模のなかでも活動を継続しており、今後の発展も期待できる。

 

これら2つの団体については、2017年2月に行う「日本山岳遺産サミット」で紹介する予定です。

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