日本山岳遺産ニュース

本年度の日本山岳遺産認定地として全国6カ所を認定

 日本山岳遺産基金では、2017年度の「日本山岳遺産認定地」6カ所を決定しました。

 本年度については8つの団体からの申請があり、アドバイザリーボードの助言のもと、事務局で検討した結果、三ツ峠ネットワーク(山梨県・三ツ峠)、岩手山地区パークボランティア連絡協議会(岩手県・岩手山)、入笠ボランティア協会(長野県・入笠山)、白神コミュニケーションセンター(秋田県・二ツ森)、霧ヶ峰草原再生協議会(長野県・霧ヶ峰)、グラウンドワーク大山・蒜山(鳥取県・伯耆大山)の6カ所を本年度の「日本山岳遺産」として認定しました。

 各認定団体には、事務局と調整のうえ、本年度中に助成金を拠出します。

 また月刊誌『山と溪谷』ほか山と溪谷社の媒体を活用し広報支援を行う予定です。


2017年度の日本山岳遺産認定地と認定団体

 本年度の日本山岳遺産認定地と認定団体は以下の通りです。

山名・地名 都道府県 申請・認定団体 主たる活動
三ツ峠 山梨県 三ツ峠ネットワーク 自生植物の保護
岩手山 岩手県 岩手山地区パークボランティア連絡協議会 外来植物駆除・登山道整備
入笠山 長野県 入笠ボランティア協会 山岳環境保全
二ツ森 秋田県 白神コミュニケーションセンター 外来植物駆除・次世代育成
霧ヶ峰 長野県 霧ヶ峰草原再生協議会 山岳環境保全
伯耆大山 鳥取県 グラウンドワーク大山・蒜山 山岳環境保全・次世代育成

三ツ峠(山梨県)/三ツ峠ネットワーク


【山の概要】

 開運山、御巣鷹山、木無山の3山の総称。奈良時代から霊山とされ、江戸末期に修験場として開山された。富士山・南アルプス・八ヶ岳などの眺望地で多くの登山者が訪れる。アツモリソウの自生地としても有名。

【認定団体】

 2010年の設立以来、アツモリソウの監視・保護活動を中心に三ツ峠を愛する人々の相互交流を進めている。

【認定理由】

 地域の山荘主人らの熱意に始まるアツモリソウの保護に長年の活動実績があり、深刻な鹿食害も進む中、防鹿柵の設置も重要な活動である点を評価。





岩手山(岩手県)/岩手山地区パークボランティア連絡協議会


【山の概要】

 奥羽山脈北部にある成層火山。北東山腹の焼走り溶岩流は国指定特別天然記念物となっている。山体は形成時期の異なる火山の集合体とされ、形成時期による植生の違い、多様な地形に起因する特徴的な植生分布が認められる。山頂一帯と北東山腹の一部はコマクサ群生地で、岩手山高山植物帯として特別天然記念物指定を受けている。

【認定団体】

 2014年より、環境省認定のパークボランティアの連絡調整を図るとともに、岩手山とその周辺地域の自然環境保全・登山道整備などに尽力している。

【認定理由】

 地域に根ざした団体として地道な活動を続けており、オオハンゴウソウなどの駆除も、自然植生の保全のために必要な活動である点を評価。





入笠山(長野県)/入笠ボランティア協会


【山の概要】

 南アルプス北端に位置し、ロープウェイ利用で手軽に登山が楽しめる。周辺には入笠湿原や大阿原湿原などが広がり、山頂は360度の大パノラマで八ヶ岳・富士山などを展望できる。登山の手軽さの一方で「花の宝庫」とも呼ばれ、初夏から秋まで途切れることなくさまざまな山野草が楽しめる。キノコや小動物なども豊富。

【認定団体】

 2003年より、入笠山・入笠湿原での生態系保全活動を続けている。活動には地元のスポーツ少年団や子ども会も参加するなど、地域とのつながりも強い。

【認定理由】

 活動が長期間継続されている点、地域の子どもたちも巻き込んでの次世代への環境教育も含めた活動である点が評価できる。





二ツ森(秋田県)/白神コミュニケーションセンター


【山の概要】

 秋田・青森県境に位置する白神山地の主要峰のひとつ。世界遺産登録のきっかけになった「青秋林道」の秋田県側終点に登山口があり、1時間程度で山頂に達する。登山道からは世界遺産の核心地域が眼下に広がり、ブナ林~ダケカンバ~森林限界へといたる植生変化が観察でき、周辺で暮らす動植物・昆虫の存在も季節ごとに感じられる。

【認定団体】

 2013年より、白神山地・周辺地域での環境保全活動や啓発活動などを続けるとともに、観光振興との両立も図り、地域振興に寄与している。

【認定理由】

 地域の人々、とくに児童、生徒向けの環境保全啓発活動など、助成を何に活かすかが明確であり、次世代への環境教育の面でも評価できる。





霧ヶ峰(長野県)/霧ヶ峰草原再生協議会


【山の概要】

 長野県の4市町にまたがる火山。最高峰の車山をはじめ、多くのピークで構成されるが全体に山体はなだらか。山中にある3つの湿原は「霧ヶ峰湿原植物群落」として国の特別天然記念物に指定されている。人との関わりのなかで形成された山頂部の草原、原生的な樹林などが組み合わさり、全国的にも希少な植生や生態系が形作られている。

【認定団体】

 2014年より、「霧ヶ峰自然保全再生実施計画」に基づいて、各年度の作業計画を定めて、外来種駆除や草原再生作業を実施している。

【認定理由】

 利用者も多く訪れるエリアであり、希少な植生や生態系の維持、草原の復元なども大切な活動である点を評価。





伯耆大山(鳥取県)/グラウンドワーク大山・蒜山


【山の概要】

 日本海近くに噴出した火山で中国地方の最高峰。剣ヶ峰を主峰にいくつかのピークを持つ。周辺では火山地形特有の変化に富んだ地形・地質が見られ、火砕流によって形成された火山灰台地が広く分布する。山腹から山裾にかけて西日本最大級のブナ林が広がり、標高や人の手の加わり方に応じて多様な森林環境がみられる。

【認定団体】

 2008年より、大山・蒜山地域で生物多様性の保全・希少野生生物の保護・自然体験学習の推進など幅広い活動を進めている。

【認定理由】

 大山という地域で親しまれている山を舞台にし、生物多様性を活かした里山と奥山の環境学習活用事業を行うなど、活動内容もしっかりしている点を評価。




 これらの団体の活動詳細については、2018年2月に行う「日本山岳遺産サミット」で紹介していただく予定です。