日本山岳遺産ニュース

全国3箇所の日本山岳遺産認定地を発表

 日本山岳遺産基金では、2014年度の「日本山岳遺産認定地」を決定しました。

 本年度は計8団体からの申請があり、アドバイザリーボードの助言のもと、事務局で検討した結果、以下の3箇所を本年度の「日本山岳遺産」として認定することになりました。

 各認定団体には、事務局と調整のうえ、本年度中に助成金を拠出します。また月刊誌『山と溪谷』ほか山と溪谷社の媒体を活用し広報支援を行う予定です。


2014年度の日本山岳遺産認定地と認定団体

 2014年度の日本山岳遺産認定地と認定団体は以下の通りです。

山名・地名 都道府県 申請・認定団体 主たる活動
吾妻山 福島県 吾妻山自然倶楽部 山岳環境保全
鍬ノ峰 長野県 長野県大町高等学校山岳部 登山道整備
徳本峠 長野県 古道徳本峠道を守る人々 登山道整備

 本年度は計8団体からの申請があり、アドバイザリーボードの助言のもとで、事務局で検討した結果、以下の3箇所となりました。各認定団体には、本年度中に基金事務局と調整のうえ、助成金を拠出します。併せて山と溪谷社の媒体を活用した広報支援を行う予定となっています。


吾妻山(福島県)/吾妻山自然倶楽部



【山の概要】

 一切経山(1949m)の火山噴火により生成された火山荒原と、オオシラビソを主とする亜高山性針葉樹林の原生林や、山地湿原、雪田草原、瀑布など、変化に富んだ景観を有しています。古くから山岳信仰が栄えた歴史的にも価値の高い山。日本百名山で磐梯朝日国立公園内の森林生態系保護地域にあたります。

【認定団体】

 自然の荒廃に憂慮した地元の山岳関係団体代表者らにより、2003年に任意団体として設立。登山道周辺の荒廃裸地の植生復元のために、行政機関への提言や、一般市民のボランティアを募って11年間活動を続け、環境保全啓発に取り組んでいます。

【認定理由】

 登山道の荒廃が進み、対策が急務ですが、吾妻山自然倶楽部が環境保全の呼びかけと、行政への働きかけを目的とした任意団体である性格上、復元作業に取り組むには、公募助成金の申請により原資を得る必要があります。

 来年度に予定している酸ヶ平・姥ヶ原地区と東吾妻山地区での荒廃地への播種と緑化ネット敷設作業のための、ネット購入費用を助成対象とします。


鍬ノ峰(長野県)/長野県大町高等学校山岳部



【山の概要】

 鍬ノ峰(1623m)は大町市の西に位置する、北アルプスや大町市街が眼前に一望できる前衛峰。ブナ、ミズナラ、リョウブなどの広葉樹が豊かで、シャクナゲが咲き誇る山としても、市民に親しまれています。

 北側の登山道「仏崎大町高校ルート」が、2001年に同校創立100周年を記念して、高校生たちの手によって開かれ、現在も維持、整備が続けられています。

【認定団体】

 2014年は生徒9人、顧問3人が活動。長野県山岳協会理事長としてジュニア登山や海外登山を先導してきた大西浩教諭が今年から顧問となり、その指導のもと、山岳部としての活動もさらに活発化するなか、鍬ノ峰の「仏崎大町高校ルート」の整備の重要性が再認識されています。

【認定理由】

 地域の里山を守るために高校生らが懸命に活動している点を評価。広く大町市民に愛される山ですが、なかでも「仏崎大町高校ルート」は開設以来、縦走登山ができるコースとして、市民が訪れています。

 現在、整備費用は生徒会の部費や、クラブ員の自己負担で賄っていますが、器具の不足や老朽化から、買い替えが必要な時期。老朽化した道標の付け替え費用も含めて助成対象とします。


徳本峠(長野県)/古道徳本峠道を守る人々



【山の概要】

 松本市安曇島々から上高地、明神へと至る歴史的に重要な登山道。上高地が木材生産地であったころに始まり、日本アルプスが知られる契機となったウォルター・ウエストンらの時代にも、上高地への主要ルートでした。

 豊かな森林景観と、徳本峠(2140m)から望む槍穂高連峰の姿は圧巻。中部山岳国立公園内に位置し、野生動物や希少な蝶なども生息する特別地域ですが、雪崩や土砂による荒廃が進み、多くの風倒木が道を塞いでしまう状況です。

【認定団体】

 島々~徳本峠~明神に至る16㎞の登山道の整備を行うため、2011年から有志で活動を始めました。年4~6回の整備活動は、自己責任のもとで、道具や補修材料を自前で持ち寄っての地道な活動。

 作業参加者のコミュニケーションや意識向上を図るために、研究員を招いての「徳本フォーラム」も毎年、開催しています。

【認定理由】

 活動実績は4年と、まだ短いですが、近代登山史においても極めて重要で、地元の学校登山や遠足などでも活用されている登山道の整備や安全確保を、ボランティアだけで行っている点を評価。チェーンソーを中心とした整備備品購入費用を助成対象とします。




 なお、例年、この「日本山岳遺産認定地」の発表を行ってきました「日本山岳遺産サミット」につきましては、本年度は2015年2月下旬に開催する予定です。